■『空想SELF』
いままでクローズドにしてきたDTOをコアにした『Cuusooシステム』を『空想SELF』としてオープンにした。培ってきたことを公開し、誰もが使えるようにしてきた理由とは。
「もともとDTOは普及させようと作られてきました。ただシステム上の技術の向上と実績を積むのに8年の時間を要してしまいました。大企業だけではなく、小さな企業からも導入の申込みがあり、事前調査もできてデザイナーも参加するようになった。そしてなによりもユーザーに認知してもらったことが最大の理由です」
いままで地道にシステム改善をしてきたり、多くの作品が実績として表れてきた。言い換えれば、これからの商品開発、拡大すれば経営にまで有効な手段だと認知されたように思える。今後『空想SELF』がもたらすことはどのようなことだろう。
「画一的な製品開発してきたメーカーが『カッコイイデザインやパッケージングをしてみよう』とか、技術力があっても資本力がなくてOEM開発に甘んじてきたメーカーが独自の製品を市場に出すことができるようになります。
受注後に生産に入ることでの安心感から数量限定生産が可能になるからです。もっと進化して20年も50年もかかるかもしれないけれども“注文ソフト”として進化を遂げて欲しいと思います」
では『空想SELF』が個人レベルまで普及したらどうなるだろう。iPod nanoが発売された時にはケースの発売が遅れていたことがあった。その時、個人で作った人たちが多くいて、ブログで公開していたことを思い出す。トラックバックには「売って欲しい」という書き込みが多くあったものだ。『空想SELF』が個人で導入できたら、個人でも事業として成り立つだろう。それはカロッツェリア(イタリアにみられる小規模工房)のように、小ロット生産でユーザーを意識したオリジナリティ溢れる製品が作られていくように予感できる。
「量産ではなくワンオフであれば価格が高くなってしまう。ただネット上で購入者を募って台数を集めれば、程よい価格で供給できる。実際にイタリアのカロッツェリアはそうですね。多くの人が導入すると現代版のカロッツェリアが全ての分野で存在することが予見されますね」
■多くのプレイヤーが参加する黎明期
しかし、小さい会社、個人が生産を始めることは、よりモノの氾濫を招いてしまうことにならないだろうか。
「大きいところのOEMを請け負っていた小さな会社が、よりユーザーの声をくみ上げて市場に出ていく。まだ『空想SELF』は月5万円ほどで提供していますが、これが将来200円とかになったら、個人でも十分に対応できるようになります。このようにプレイヤーが増えていく時期だと考えます。これは一カ所に集約されて供給することよりも分散して供給することです。こうして全体的に効率が良くなって行きます」
「ネットオークションがそういったことでしたね。クリスティーズとかに参加するとなると、相当の手続きと参加料が必要でした。でも参加料が安くなった今のネットオークションでは、殆ど不用品交換会のようになりました。ネット上の商取引の13%がオークションです。流通業よりも売り上げは少ないけれど、トランザクションからみれば利益率は多いのです」
多くのプレイヤーの存在は、“ほしい”を実現してくれる人が何処かにいる可能性が高い。不用品をネットオークションに出品することは、何処かにいる必要な人へ結びつけをしてくれる。
結果として捨てないことと、低価格で買えるという折り合いが生まれる。また新しい分野の場合、市場そのものが不確実な要素が多い。プレイヤーが多いほど技術革新が起きやすいのも事実だ。 |