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今回のインタビュー 「ほしい」をかなえる!エレファントデザイン代表 西山浩平氏インタビュー。エレファントデザイン設立のきっかけ、「モノづくり」への考え、環境問題など多岐にわたって訊いてみたのだ。
インタビュー エレファントデザイン株式会社 代表取締役 西山浩平さん

■『Cuusooシステム』
エレファントデザインが創り出した『Cuusooシステム』は、消費者の要望をデザイン化するDTO(Design To Order)を核に消費者から始まる商品開発支援システムだ。

 ニーズを掘り起こしCGによる試作品をウェブ上で公開し、サポーターとして購入希望者を募る。採算に合う購入希望者数に達した試作品は、実際に製品化される。これは企業サイドでは2点のメリットがある。開発の前にユーザーからの予約を受け付けニーズを把握し開発リスクを下げる、またニーズがあるのにもかかわらず製品化を見逃すロスを軽減する、この2点だ。消費者からすると、ほしいものを作ってもらえる、というメリットがある。

■原体験は帰国した時の日本をみて
 西山氏は、南米コロンビアに10代まで過ごし、大学進学の為に日本に帰国した時に疑問を感じたことがあった。「使えるモノが捨てられている。なんでスゴク欲しいと思って買ったのに使い倒すことなく捨てられてしまうのか」と。そこで進学した大学では「ゴミのうまれかた」を研究、1960年代に行われた住宅政策で始まったことに着目し学際的に卒業論文へ記した。

「本来『捨てたくなる』と『買いたくなる』はセットなんです。人間の時間もスペースも有限で、古いモノを捨てないと新しいモノが入らない。ところがほしいことだけを優先させるとモノが家に溢れて、結果もったいない捨て方がされている」

 1960年代に始まった住宅政策によって行き渡った個人宅。個室やダイニングキッチンといった、それまでになかったライフスタイルが生み出された。それは個人レベルでも家族レベルでもモノが住宅に集積されやすい環境を同時に生み出したのだ。このライフスタイルの変化は現在にも通じている。

「そして蛍光灯が導入されると僅かな汚れに敏感になった。同時にコマーシャルで新製品が流されると、僅かな汚れを理由に捨てられるようになりました」

 個人宅の普及から始まったライフスタイルの変化とコマーシャルリズムと「汚れ」といった些細な理由で「廃棄」される疑問が、エレファントデザインを創業するキッカケになったのだ。

■そして始めたエレファントデザイン。最近モノづくりへの考え方が変わった。
「創業した当初はオーダーメイドの良さを工業製品に転化すれば良いのではないかと思っていました」

 オーダーメイドは自分の為にだけに作られる。細かい仕様まで注文することで、妥協点を取り除き満足度の高いモノができるはずだ。オーダーメイドの考えを工業製品に転化することだけでは“捨てないモノ”には、まだ不十分であることに気付いたそうだ。

「この1、2年で考え方が変わって…モノってそんなに必要ではないのではと。本当に必要なモノはどうあるべきかと考えるようになりました」

 ここまで聞くと、モノで溢れた現代社会へのアンチテーゼのように思える。「どうあるべきか」という一言に、モノへの考え方の変化が現れる。

「最初にデザインや素材ありきと考えられてきたけれども、ユーザーが本当に望んでいるのは、ユーザーの暮らしそのものではないかと思えるようになったのです」

 現在は空前のデザインブームだ。モダンインテリア、ミッドセンチェリーの復活、アートの世界が生活の中に入り込みはじめたりしている。洗練されたモノに囲まれたい、と欲してデザインを求めているユーザーが増えているのは事実だ。

「例えばエアコンを考えてみましょう。『季節に合わせて快適な室温で過ごしたい』がユーザーが望んでいることなんです。だからエアコンは目に見えなくていい。エアコンを所有することを望んではないのです。

 デザインコンシャスなエアコンが発売されると、他のエアコンよりマシだからという理由だけで買う。本当はダクトだけが目に見えれば十分なんです」

 過ごすことを前提に考える、エアコンが贅沢品ではなくなった今、快適で過ごす時間をどのように使うかが問われているのだ。モノを所有することで満たされるというよりも、過ごすこと、暮らしそのものに主眼を変わりつつある。

「少し未来の生活を提案する。または、いい方法を実践して生活している人を紹介する。このような提案や紹介にユーザーが考える必要なモノを教えて欲しい。そしていいところを具体化して実現しましょう、という方向に流れつつあるんです」

  モノが主ではなくて、生活が主でモノが従であること。生活からモノを作り出していこうというスタンスだ。

「やっぱり背景にあるのはモノではないでしょう」

  必要は発明の母であることを改めて気付かされる。

■消費というクリエイティヴな行為──参加の余地
 モノには、開発者の想いに賛同して使う人もいる。特にクルマの世界ではメーカーの歴史的な背景やブランドへの共鳴をして購入し、オリジナリティを維持して長年使い続けるユーザーの姿もある。これは、開発に関わりたい、というユーザーの欲求の表れだともとれる。暮らしそのものから発するモノづくりであれば、開発に参加するヨロコビをユーザーが持ち、モノへの愛着が増す。結果、もったいない捨て方もなくなるのではと考えられる。

「メーカーが企画し、開発するゴーサインを出す前に、ユーザーが主導権をとってしまうというのは難しい。流通経路を使えなくなってしまう可能性が大きい。これではメーカー怖くて手が出せません。それに、デザインの観点からのみの意見だと設計図や仕様書は書けません。技術的な裏付けがないと具現化できないのです」

 “ほしい”をカタチにする、ユーザーの要望を具現化する空想生活である。開発にサポートすることに魅力を感じていたワケだが、ユーザー主導で開発して製品化されてきた作品の突破口とは何だったのだろうか?

「開発者の想いを尊重して使い続けることは、ある程度ユーザーが開発の情報得ているから理解もできるし修理することもできる。情報は、メディアから入手したり個人同士で交換するコミュニティが存在して成り立っているのです。このコミュニティでのやりとりでは、ユーザーは自分自身の考えやライフスタイルを確かめることができるのです。同時に開発者からすれば、考えていることに対しての“正しさ”の確認をする場でもあるのです」

 開発者の“正しさ”は、企画や製品、技術が、ユーザーにとって本当に必要とされているのか、ユーザーからのアイデアを募っている、という両面からのもの。1960年代のコマーシャルリズムのような手法は、ユーザーに対しての“押し付け”に部分があった。開発者のユーザーへの歩み寄りが、開発プロセスに欠かせない要素になりつつあるのだ。

「ほどよくユーザーが手を入れられる要素があると思います。クルマの世界ではよくしたもので、エンジンやシャシーは触れないけど、磨くとかオリジナリティとかけ離れるけれどチューニングするなどの手をかけられる要素がありますよね。実際には開発には関われないけれども、手を入れる要素が残されている。開発のベースの技術的な部分ではなく、こうしたらイイ、と一言添える部分に『Cuusooシステム』から参加できる良さがあると思います」

 ユーザーの一言が開発に反映される、つくられた製品が暮らしのとけ込み、新しい生活が生み出される。もちろん、そのモノも長年使い続けられていく…。「参加の余地」から新しい製品をつくられ購入される“消費というクリエイティヴな行為”が芽生えているように思われる。

  ユーザーは思う「買うのであれば、自分たちも参加していこう」と。

「それは10年前から確実に顕著になってきました。今後はもっと目に見えるようになると思います」
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