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ライフスタイルコラム毎月1日更新 野山であそぼっ 廣田充伸・廣田美千香「東京から栃木の里山に移り住んだ家族の暮らし」を廣田さんが里山の馬頭町を舞台に、樹のやさしさや自然の豊かさ野山での遊びと共に、お届けします。※廣田充伸さん、廣田美千香さんによる隔月交代連載 その7
一周遅れの最先端、の話 廣田充伸

家の前の原っぱの向こうの谷には、小さな沢が流れています。
特に道も無く、夏の間は草に覆われていて、入ろうとする気持ちも湧かなかったのですが、今なら草が枯れていて入るのも簡単です。
近所の子どもたちも一緒に沢をたどってみる事にしました。沢に入るとそこは別世界。

谷で囲まれ道路や家も見えなくなるので、なんだかとても山奥に来たような感じになります。冬なのに、思ったよりも水量があって、蛇行する沢を何度も渡り、運動靴が多少濡れても、子ども達はみんな競うように前に進みます。僕も、沢を登るのが大好きでした。

次から次へ変わる未知の風景。次の風景を見るための探究心をエネルギーに変えて前進する。子どもたちも、そんな気持ちで活き活きと歩いていたようなので、一緒にいた僕もうれしくなってしまいました。

10分ほどすると、隣家のシゲルさんが夏の間、イノシシの被害に遭いながらも丁寧にお米を作っていた美しい棚田に出て、そこからは、田んぼや山仕事のための山道を下って帰路につきました。
距離にすると200m程のプチ探検でしたが、家の周りのワイルドコースの一つとして、子どもたちもお気に入りの場所になったようです。

ここに移住して4月で1年。
もうすぐ四季が一巡りしつつありますが、あらためてこの土地の魅力を感じ、ここに来て良かったと思います。

人間と自然が折り合いをつけながら育まれた美しい里山の風景、四季折々の自然の恵み、スローフードという言葉が流行る前から延々と伝えられた家庭の味、若者に知恵を与えてくれる生涯現役のお年寄りたち、この土地を愛する人々、子どもたちを支える地域の眼差し、この地球に生きているのは人間だけではないという、あたりまえの事をいつも認識できるような、圧倒的な量の植物や生き物のダイナミックな気配。

逆に都市では、失われた緑を回復したり、自然に優しい暮らしが見直されたり、地域の人間関係を修復しようとしています。最先端を紹介する先の万博では「となりのトトロ」にでてきた 昔の里山の家が再現され自然と人間が親密な関係にあった時代を見直そうとしています。

都市化された場所で暮らす人々が求めているものや、そのヒントとなるものは、実は、ここにたくさんあるのです。

以前の日本では、どこにでもある、あたりまえの風景だったのでしょうが、高度成長期を通して、どこもが都市化された結果、過疎にならずにこんな風景や暮らしを残している土地は数少なくなりました。

この町は、都市と同じような便利すぎる暮らしを望まずゆっくりと歩んできた結果、現代の都市に住む人から見れば逆に憧れの土地になっていると思います。カーレースで例えると、遅い車が先頭の車両に一周遅れて追いつかれそうになっている状態。言ってみれば「一周遅れの最先端」。
だけど、そこで、単純に自然を切売りしたり必要以上の都市化や利便性を望みすぎても、都市には追いつけず本当に一周以上遅れてしまう。
資本としての自然を生かして都市の人々の需要に応えるような観光や産業を育てることで、今の時代にあって常に最先端でいられるし、これまでと同じように子々孫々にまでこの環境を伝えられる。

観光地としてありがちな「箱もの」を作るだけではなく、都市から来た人々が、ありのままの里山の暮らしや自然に親しめ、ここに生きる人々と自然な形で交流できるようになり、心のふるさとと感じてもらえるような場所になれば・・・。
漠然としていますが、そんな風に思うのです。そこで僕たちは、都市からこちらに来て両方の暮らしを知っている人間として、都市の人にだけでなく、当たり前すぎてその魅力に気づかないこの町の人にも、ここの素晴らしさを紹介し、双方の翻訳者として少しでも力になれればと考えています。

そのひとつの形として、町の有志が主催する「花の風まつり」というイベントに参加することにしました。
今年で4回目のこのまつりは、5月の連休に町のあちこちで、展覧会や、コンサートや、普通の民家でのおもてなし等、多種多様なイベントが開かれます。
人と人が出会い楽しく交流することも目的のひとつで、毎年、町外からたくさんの方々が訪れます。
どうぞ、この町に興味のある方は、ぜひ足をお運びください。良い出会いが待っていると思います。

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■「花の風まつり」公式HP<2006年4月29日〜5月7日>
  http://www.kentokuji.com/html/hanakaze2005/index.htm
  (これは昨年版ですので、今年の案内は4月頃に下記でご確認ください。)
■「乾徳寺」http://www.kentokuji.com/
■また、パンフレット(4月中旬完成)ご送付ご希望の方は、下記までご連絡ください。
  mail:info@hirocraft.com
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■関連HP
廣田さんが作られている作品をご覧になれます。
ヒロクラフト
 http://www.hirocraft.com

廣田さんご家族の里山での暮らしの日記です。
ブログ「野山であそぼっ」
 http://blog.livedoor.jp/hirocraft/

廣田さんが旅行したパタゴニアの自然を紹介しています。
旅の記録「風と氷河のパタゴニア」
 http://www.hirocraft.com/patagonia/

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