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ライフスタイルコラム毎月1日更新 野山であそぼっ 廣田充伸・廣田美千香「東京から栃木の里山に移り住んだ家族の暮らし」を廣田さんが里山の馬頭町を舞台に、樹のやさしさや自然の豊かさ野山での遊びと共に、お届けします。※廣田充伸さん、廣田美千香さんによる隔月交代連載 その6
冬の暮らしと干し柿の幸せ、の話 廣田美千香

馬頭にも寒い冬がやってきました。
12月は全国的に厳しい寒さに見舞われたようですが、馬頭もやはり例年にない寒さだったようです。
我が家も、夜は雨戸を閉めているのですが、朝になると窓のサッシは凍りつき開ける事が出来ませんでした。雨戸のない窓のガラスには、毎朝見事な「氷の芸術」が出来ていました。 午前6時の外気温は連日−10℃。

畑の土はカチンコチンに凍っていて、畑のネギを抜こうとしたら地表に出ているところでブッツリ切れてしまう有様。庭の水道は加温しているにもかかわらず午前中は凍り付いて水が出ません。
冬の初めにご近所から頂いた大根や白菜を、一時的に外の小屋に置いていたら、激しい寒さで見事に凍ってしまいました(凍った野菜は、室内で解かしたら幸い食べることができました)。
年明け後は寒さも随分緩んだようですが、さて一年で一番寒いはずの2月は、どんな気候になるのでしょうか。厳しい寒さも新鮮な驚きに満ちていて、ちょっとワクワクしているところです。

今の季節、露地の畑ではほうれん草や小松菜が寒風を避けるように丈低く育ち、ネギや大根や白菜、人参といった冬の野菜が収穫を待って静かに寒さに耐えています。秋から育てた野菜を、畑で保存しつつ冬の間大切に食べて行くのです。たくさんの野菜がじゃんじゃん育っていた夏場とは違いますが「畑に行けば野菜がある」という暮らしは基本的には変わりません。

一見豊かにも見えますが、秋の労働があっての冬の暮らしですし、秋の畑の出来次第で冬の食生活が左右された昔の人の暮らしは、とてもシビアだったんだなぁと思います。
今はスーパーに行けば何でも売っていますし宅配の利用も可能なので、私たちのように里山暮らしの素人であっても、食べ物の心配をすることなく、のほほんと冬を過ごす事ができます。


「自給自足」と意気込んでいる訳ではない私たちにとって、「便利」は本当に有り難いのですが、でも、出来れば昔からの知恵を学んで、この土地の恵みを大切にした暮らしをしていきたいものだと思います。

その第一弾、という訳ではありませんが、秋に家の裏にある蜂谷柿の実がたわわに実ったので干し柿を作ってみました。

蜂谷柿の実はとても大きいのですが、渋柿なので実の硬いうちは生ではとても食べられません。
熟すと自然に渋が抜けて甘味が増し、果肉もとろりと軟らかくなってとても美味。ヘタを落として皮付きのまま果肉をスプーンでくり抜くようにして食べるのが、私と子ども達のお気に入りです。

子ども達は学校から帰ると裏の柿の木へ直行。木に登ったり高枝切りバサミを駆使して、よく熟した柿を選んで頬張りながら、「美味しいおやつだね」と幸せそうな顔をしているのを見ると、こちらもほのぼのした気分になります。

さて、干し柿は、実がまだ硬いうちに一つ一つ皮を剥いて熱湯にドボンとつけてから、紐でつなげて軒下につるし寒風にさらします。
好みの硬さに干しあがったら、軒から下ろして保存しておくのだそうです。「いつまでも干しとくと硬くなるし、粉ふいちまうからね」と、近所のおばあちゃんに教わりました。

実は私も夫も今まで干し柿にはあまり縁がなく、どちらかというと遠慮気味の食品でした。
東京で買って食べた干し柿は、どうにも甘すぎて苦手。
ところが、馬頭で食べる干し柿はとても美味しいのです。

寒さが厳しいので体が甘みを必要としているのかもしれませんが、とても上品で繊細な甘さに感じられるのが不思議です。
「ところ変われば味覚も変わる」ということなのか、その土地にはそこの気候にあった、その時に体が本当に必要としている食べ物がある、ということなのでしょうか。
旅先で美味しいと思ったものでも、持ち帰って食べてみると大して美味しく感じなかった、ということは今までにも経験があります。
その土地の気候風土で味わってこそ、本来の美味しさが引き立つということなのかもしれません。馬頭で作った干し柿は、私たちにとってまさにそういう食べ物でした。

そのうちによそのお宅からも干し柿を頂いたので食べ比べをし、家族みんながにわか干し柿評論家に。どこのお宅の干し柿も美味しいのですが、微妙に干し加減や甘さが違っていてとても楽しいのです。私は果肉がゼリー状になった少し柔らか目のものが一番好きですが、夫は「しっかり干して、硬めになったのが好き」と未だに軒につるしたままで少しづつ楽しんでいます。

裏の柿の木にはもう実はついていませんが、秋の一手間が豊かな冬の楽しみをもたらしてくれました。 出来上がった干し柿を頬張っては、里の恵みをしみじみと感じています


今度の秋はもっとたくさんの干し柿を作りたいねと、今から夫と話しています。

■関連HP
廣田さんが作られている作品をご覧になれます。
ヒロクラフト
 http://www.hirocraft.com

廣田さんご家族の里山での暮らしの日記です。
ブログ「野山であそぼっ」
 http://blog.livedoor.jp/hirocraft/

廣田さんが旅行したパタゴニアの自然を紹介しています。
旅の記録「風と氷河のパタゴニア」
 http://www.hirocraft.com/patagonia/

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