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トップページ > ライフスタイルコラム > バックナンバー手仕事のスピードで暮らそうよ その9
手仕事のスピードで暮らそうよ〜信州枕木の家から〜 「自然に調和して、気持ちよく暮らそう」 公害問題に関心の深い陶工、岡本さんが信州の小諸で手仕事の焼き物を行いながら語るエコロジカルなメッセージをお届けします。 その9
有るを尽くして

35年ぶりに日本で開催される万国博、「愛・地球博」が始まりました。

「人類の叡智」をテーマにしたこの催しの目玉は、「ユカギルマンモス」。18000年間、永久凍土の中に閉じ込められていたマンモスを−15度Cで冷凍展示し、リアルな姿を見てもらおうとの試みです。連日の盛況振りを、私は複雑な心境で見ています。そもそもこのマンモスが人目に触れたのは、まさに永久と言えるほどの長きに渡って、凍っていたツンドラの土が、解け始めたことによるものだからです。原因は地球の温暖化。こうした傾向がますます進めば、永久凍土に保管されていた地球の履歴も遠からぬうちに失われることは必至です。

環境分野で女性初のノーベル平和賞を受賞した「国連婦人の地位向上委員会」ワンガリ・マータイさんは、来日の際、「もったいない」という日本の言葉と文化を世界に広めたいと発言しています。24時間型ライフスタイルと共に育ってきた若者たちには死語となってしまったこの言葉も、団塊世代の私には、耳にタコができるくらい聞かされた環境教育のキーワードだったような気がします。

使い捨て時代以前はごく当たり前だった、無駄のない暮らしを、ここ信州では「有るを尽くして」と言い習わしてきました。信州人28年目の私のお気に入りの言い回しです。例えば、宴会の中締めの常套句として、「せっかくのご馳走です。もったいないので残さず召し上がってください」と言った意味合いで使います。

太陽起源の再生可能エネルギーは不安定で、扱いにくい面もありますが、ありがたい事にこの地に恵まれた自然のエネルギーです。私たちは、まずこれを極力活用する。「有るを尽くして」足りない分を他に求める。これが物の順序です。国土の7割が森林というわが国が、世界一の木材輸入国とあっては、「もったいない」も、「有るを尽くして」も絶滅危惧種といわざるを得ません。そんな中、軽井沢にある「星野リゾート」では、戦前から農業用水を利用した小水力発電を行ってきましたが、今回リニューアルにあたって、地熱利用も進め、消費するエネルギーの70%を自給すると聞きました。「有るを尽くして」を基本に据えた、末来環境プロジェクトと言えるでしょう。

今回、万博会場から発信される末来社会は地球の温暖化を解決できる設計図を持ち合わせているのでしょうか。そして会場を訪れる人々が、「ユカギルマンモス」からどんなメッセージを受取るのか、「人類の叡智」が試される半年間になりそうです。

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