昨年行われた東京モーターショーでは、環境がキーワードになっていたことは記録に新しい。「自動車があり続けるために何をすべきか」を追求する国内外の自動車メーカーや関連会社は、技術革新の結果を、あの会場に公開していた。「自動車は生活になくてはならないもの、運転する悦びを与えてくれる、これからもあり続けて欲しい…」、そのような想いがカタチになっていた。
そのような想いを行動にして「今だからできること」を始めている人たちを中心に紹介するのが『胸をはってクルマに乗れますか?』である。
「クルマに乗れますか?」とあるが、気候変動研究の第一人者である真鍋淑郎氏に「地球温暖化とはなにか」を伺ったり、化石燃料を燃焼させる自動車であるからこそ、エネルギー問題へも言及している。加えて資源の枯渇の予測と実用化されている更新性エネルギー(風力、水力、地熱、太陽光)発電施設や水素の利用状況など、大局的に取り組むべき課題を提示しているのだ。環境問題を触れる時に、必ずと言って出てくるこれらのキーワードを平易に解説されているのは一読の価値がある。
自動車メーカーや関連メーカーの取り組みでは、アイドリング・ストップ・システム、燃費向上の有効なガラス、転がり抵抗低減するタイヤなどの見える部分から、ステアリングシステムが燃費向上に結びつくなどの見えない意外な部分までを網羅している。
ここに紹介されているのは、ウルトラC的な解決策ではなく、既存のシステムを改善する地道な試行錯誤を繰り返している現場の生の声だ。
それは未来像ではなく、今現在に実用化されて利用できるものである。
コマーシャルや店頭で見られる「エコ」なモノにまつわる物語と言ってもよいだろう。
また、実際に購入したユーザーの声が紹介されている。個人で「環境配慮」する心意気を感じることだろう。
時代を遡り環境に負荷を掛けていない時代に戻ろう、といった悲観的なこと聞く。
だけれども、今までの進化を退化しないように工夫するバイタリティをもって取り組む人たちが多くいるのだ。
そして「環境と経済の両立」を目標に各国が取り組みしているのは周知の事実。その反面で、環境を配慮することは経済成長を停滞させてしまう、という国もある。
あえて、この部分を意識しながら本書を紐解いてほしい。
自動車という実例から「環境と経済の両立」は可能であることがわかるハズだ。
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