株式会社ビアス社長ブログ、2006年01月の記事です。

2006年01月25日

12年前のこと。

カテゴリー:雑文

ある日のことです。といってもそれは12年前のこと。

私一人しかいない自宅兼事務所に一本の電話がかかってきました。
「はい、サンネット事務局です。」
「あのぉ、サンネットの会員になりたいんですけど。」
と女性の声。普通に考えると嬉しい問合せです。しかしその一言の物言いから攻撃的な雰囲気がビリビリと伝わってくるのでした。

当時、私は“サンネット大宮”という地域に密着したパソコン通信を運営していました。そのネットは地域密着というコンセプトで技術的にもビジュアル操作で通信ができるというものでした。まだOSがウィンドウズ95以前でパソコン操作はコマンドラインで行っていた時代ですから、今では当たり前のマウス操作で通信することができるだけで注目されたパソコン通信の一つでした。

「ありがとうございます。それでは、入会操作は全てオンラインで行うことができますので、その操作方法を説明させていただいてもよろしいでしょうか?」
普通の入会問合せであれば“はい、お願いします”という声が返ってくるはずです。
「説明してもらってもいいですけど。マウスをどうやって使えと言うんですか!?」

私の頭の中は???です。
もしやマウス操作から説明しなくてはいけないと思うと、正直厄介だなあという思いが走りました。
その女性は言葉を続けます。
「こういうネットはみんなが使えるようにするべきじゃないですか!私たちにはビジュアル操作はできません。あなたはそれでもいいと思っているんですか!?」
私はさらに????となり。少し憤りも覚えてしまいました。

「このサンネットは、パソコンに不慣れな人でも、だれもが使いやすいようにと考えて簡単なマウス操作で通信ができるようにしているんですけど!!」
誰もが参加しやすい地域ネットとして、簡単に操作できるビジュアル通信はこだわりの一つでしたからその思いをそのままぶつけてしまいました。

「そうですか。でも私たちには使えません。目が見えない人間は参加できなくてもいいという考えなんですね!」と、その女性の言葉には、言ったところでどうにもならないだろうという諦めと怒りが混じっていました。
その言葉を聞いてやっと私は事態を飲み込むことができました。しかし、同時にそれより大きな困惑が襲ってきました。

それまで視覚障害者をたまに見かけることはありましたが、目が見えない人と実際に言葉を交わしたのはそれが初めてのことでした。これは今の社会システムに問題があるのか自分が避けていたのかは分かりません。
それからどう対応したらよいか迷ったものの、失礼になってもいたしかたないと腹をくくって、率直な疑問を次からつぎに投げかかました。

目が見えなければそもそもパソコン事態が使えないのではないか。使えるとするとどうやって使うのか。パソコン通信をやっているのか。パソコンは役にたっているのか。何の為にパソコン通信をやっているのか。などなど。
答えはこうでした。
目が見えなくてもコマンドベースのパソコンであれば音声読み上げソフトを使って自由に使いこなすことができる。パソコン通信はニフティサーブ(富士通が提供していた当時会員数150万人位のコマンドベースのネット)でやっている。パソコンは記憶箱であり自分の頭の一部になっている(この時はこの意味が分からなかった)。パソコン通信上の世界では障害者と健常者の区別がないので偏見を感じることなく交流できる。
聞いた全てが自分が見過ごしてきたことで知らなかった世界でもあり衝撃的でした。

結局、いろいろ聞いたところでビジュアル通信では参加出来ないことに変わりなく、その虚しさは増すばかりでした。
ただ、知らぬ間にその女性の言葉は本来のやさしい声に変わっていました。

「そうだ、せっかくですから是非サンネットに参加してください。まずは自己紹介のコーナーがありますのでそこにメッセージを書いてください。私にメッセージの内容をメールで送ってもらえれば私が代わりにアップします。そしてそのコメントはメールで送り返します。」
それがハニーさんとの出会いです。(ハニーというのはネット上でのハンドルネームです。)

それから数ヵ月後、ハニーさん宅を訪問しました。
ご主人も同様の視覚障害者で、お二人でマッサージ店を営まれていました。
そこではパソコンがあたりまえのように使われていて、顧客管理などもご主人自らプログラミングして作ったソフトを活用するなど、人間のかくれたパワーを見たような気がしました。
パソコンは生活に役立ちますかと聞くと「私たちはノートが取れないからパソコンに記憶させています。もしこのパソコンがクラッシュしたら自分の頭が半分なくなるようなものです。」とご主人。
パソコン通信に何を期待しますかと聞くと「ネット上では、私は一人の普通の女性です。」とハニーさん。


あれから12年が経ちました。
あの頃は一人だったし、まず力がなかった。
今だったら何かできるはず。もう一度チャレンジしてみようと思う。

投稿者 Hiromi : 04:21 | コメント (0)

2006年01月10日

ITにパワーを!

カテゴリー:日記

もう10日ですが、今日はビアススタッフ全員そろったことだし、まずは“明けましておめでとうございます。”ですね。

今年のビアスはなんでもこざれってかんじで突っ走りますよ。実際、一人3役はこなしているのでしゃれになりませんが、当初の目的を見失うことなく何でもやる気合で行こうと思っています。ということで皆様方よろしくお願いいたします。

さて、この正月の細木和子(占い師?)のテレビ番組にホリエモンことライブドアの堀江氏が登場していたのでつい見てしまった。占いに興味はないのだが細木和子の「もっと亭主を大事にしなさい」なんていう発言があるときは、その通りだと妻を近くに呼び寄せそのままテレビを見ている。偉そうな説教になるとチャンネルをすぐに変えてしまうけど・・。
今回は堀江氏が登場していたので当然のように話はITにもおよび「ITは実態がないから・・・実体のあるものが欲しくなるのよ。だからテレビ局に・・。」と、ちょっと引っかかることを言っていた。
それから数十分、“ITは実態がなくても力があるんだよ”“じゃなきゃ時価総額があんなにあがらないだろう”“みんなそれを感覚的に感じているんだよ!”“実態がないと言えばこの世はどうなのよ”“リアルなもの作りなんて全産業の何割あるっていうんだ”“環境的にも非物質化できるものはしなきゃいけないでしょう”“バーチャルの中でのリアリティは偽物っていえるのかよ”などなど、大仏様のような顔を目の前にしては言えない独り言の間に番組は終わっていた。

ということ、今年は私たちの提供するITに社会を変えるパワーを吹き込んでいきます。

投稿者 Hiromi : 16:34 | コメント (0)