
中学3年の息子が「うちはコンビニが近くにないし、そうかといって大自然に囲まれている訳でもなく中途半端なとこだよね。」と文句を言ってきたことがあります。
半分は言い当てているのですが、生意気だったので「いつでも出て行っていいぞ」と本気で言ってあげました。
ところで、一番近いコンビニまでは約3kmです。大きな声ではいえませんが、私がコンビニに行くのは、ほとんどが雑誌の立読みです。
ちょっとした食材や雑貨が必要な時は、コンビニと同じ通りにあるOSスーパーに行きます。そのスーパーは、コンビニをちょっと大きくしたくらいの広さで、地元の地酒や野菜が置いてあります。
そこは時代の波に押しつぶされることなく、よく残っているなあと感心するような昔ながらの風情があるお店です。
私は、休日「なにもやる気がしないなあ」と思うと、愛するロードバイクに乗って近所を半日ほどぶらつきます。
時間がない場合、荒川土手の自転車道に足を向けます。その自転車道は50Km下流まで続いていて、車も通らず、風を感じながら自転車漕ぎそのものを楽しむのにはなかなかいいところです。
この休日、その自転車道に行って来ました。今日は一日寝てすごしたので、運動して美味しいお酒を飲もうと思ったのです。土手の自転車道は視界が広くてとても気持ちがいいのですが、出会いや発見は少なくて何度かいくと飽きてしまうという欠点があります。
この帰り道にOSスーパーはあります。
いつものようにこのお店に立ち寄って、隣町の地酒、塩辛、缶詰、酎ハイみたいなものを買いながら、(今晩のオリンピック観戦用のお酒は準備できた)と、レジに向かいました。
そのレジには、80才過ぎのいつものじいさんがランニングシャツ一枚で立っていました。そのじいさんがこのお店の店主です。
私は、このレジの前ではいつもヒヤヒヤしてしまいます。
商品の入ったカゴを置くと、じいさんは、品物を遠くにしたり近くにしたりしながら、
「これ100円ね、これ200円ね。いや194円だったかな。」
と小声で言いました。
(あれ、値札はどうした?ついてないじゃないか。大丈夫なのか?)
私はなす術もなく黙っています。
じいさんは、
別の商品を右手に持って、
「ええ、これは・・・」
と困った顔をしました。
私が
「ここに書いてありますよ」
と教えてあげると、
「あ、348円ね。」
と明るい顔になりました。
(あれれ、345円て書いてあるのに。3円損したなあ、まあ3円くらいいいや)
これがもしコンビニだったら、3円とはいえ「おい、間違ってるだろう!」と言うところですが、私は、このじいさんにレジを打ち直しさせるという大罪を犯すことはできませんでした。
そして、なごやかに無事会計が終わったかにみえましたが、じいさんは商品を袋に入れながら
「この塩辛の賞味期限は確認したかい?」
とちらりと私を見ました。
「はあ?」
じいさんと私は賞味期限が8月5日なのを一緒に確認しました。
「あれ、過ぎてますね!」
と私が言うと同時に、
「なんだ大丈夫だね」
と、じいさんが大きな声で言いました。
(あれ、今日は8月15日だったよなあ。あれ7月だったっけ。いやお盆だったし今日は8月15日だ)
私が心の中で葛藤していると、
じいさんは
「塩辛は大丈夫だよ」
と自信に満ちた笑顔で言い放ちました。
(3円の損かと思ったら、ひょっとして358円の損なのか?いや食べればいいんだ、食べれば)
と私の葛藤は続いていましたが、
私はそんな小さなこと気にもしていませんよと、思われたくて、
「そうですねえ」と笑顔で応えながらお店を出ました。
まったくなんど行ってもヒヤヒヤさせられます。
誤解がないよう添えておきますが、レジで安く打ち込んでしまったときなど、まあいいや「まけとくよ」といって値引いてくれたりもします。
目の前は、きれいな夕焼けです。
「息子よ。こんなスーパーがあるんだから、ここもいいとこだろう」とつぶやきながら、田んぼの細道を自転車漕いで帰路につきました。
おかしい!!大笑いしてしまいました。
一日一回は、こういう風に笑うと健康にいいと思うし、ちょいちょいのぞかせてもらっています。
新ネタ、期待しています。
そのうち、本にしてください。